東京の永住審査:高度専門職はなぜ技人国より遅いのか、どれくらい遅いのか
結論から言うと、東京で永住許可を申請する場合、高度専門職(みなし高度専門職を含む。以下「高度」)の手続きで出した申請は、技術・人文知識・国際業務など一般就労系(以下「技人国」)の手続きで出した申請より、一貫して時間がかかります。2026年上半期に許可が出た東京のケースでは、待ち日数の中央値は高度が638日、技人国が416日で、約53%の差があります。しかもこの差は昔からあったものではなく、ここ1〜2年で広がってきたものです。
この記事では、なぜこの差が生まれるのか、そして現在どれくらいの差があり、どう変わってきたのかを説明します。
先に分類の基準を示します。本記事の「高度」は高度専門職(みなし含む)の手続きで提出した申請を、「技人国」は技術・人文知識・国際業務など一般就労系の手続きで提出した申請を指します。分類は申請時の手続きによるもので、保有している在留資格そのものではありません。
なぜ:東京と他の局では、審査のやり方が違う
結論はこうです。東京は、高度と技人国を「別レーンで審査している」おそらく唯一の局です。つまり、高度の手続きで出された永住申請と技人国の手続きで出された永住申請に、それぞれ独立した審査チームとフローがある。他の局では両者は同じ列で処理され、申請区分は結果が出る速さに影響しません。
この推論に至った経緯を説明します。
東京で高度が技人国より遅いことに最初に気づいたとき、私の理解は「高度はポイントの確認が必要で、審査が複雑だから処理も遅い」というものでした。この理屈が正しければ、どの局でも高度は技人国より遅いはずです。
そこで他の局の実例を集め、東京と同じように高度が安定して遅い現象があるのか、あるならどれくらい遅いのかを確かめることにしました。
横浜については200件あまりの実例が集まりました。結果は予想外で、高度と技人国の待ち日数はほとんど変わらず、どちらも予測ツールの区分なしの基準値に近い水準でした。続いて大阪・名古屋の各数十件でも検証しましたが、結論は同じでした。
理屈の上では、どこで申請しても高度はポイント確認が必要で、1件あたりの審査の複雑さは東京と本質的に変わらないはずです。それでも、東京のような差は現れませんでした。
このとき気づいたのは、待ち日数を決める鍵は「自分の申請がどれだけ審査しにくいか」ではなく、「前に並ぶ何百人・何千人の列がどう組まれているか」だということです。
レジの行列と同じで、待ち時間はカートの中身よりも、前の列の並び方に大きく左右されます。
そして東京の規模は全国で突出しています。直近半年(2025年10月〜2026年3月)の永住申請の処理件数は月平均約3300件で、全国のおよそ半分を占めます。この規模こそが、申請手続きの区分ごとにグループ分けして処理する意思と能力を持つ唯一の局にした、というのが私の推論です。

グループ分けが行われると、高度の手続きで申請した人は技人国とは別の列に並ぶことになり、高度の複雑さは高度の列だけを遅くします。
他の局では、高度と技人国は同じ列を流れます。一人の審査官の手元に、高度の申請と技人国の申請が同時にあることもあります。だから、高度の審査が1件あたり多少長くかかっても、その時間は列全体に薄く分散され、結果として両者の待ち日数はほぼ同じになります。
高度の申請者は最終的に数日多く待つかもしれません——そのとおりです。それこそが、審査官があなたの案件に余分にかけた時間です。
どれくらい遅いのか:差は拡大している
2026年3月末、私はこの差についての統計を初めて公開しました。当時集まっていたケースでは、高度の待ち日数は区分なし基準値の約1.10倍、技人国は約0.85倍に集中しており、高度は技人国より3割近く遅い、という内容でした。あの数字は間違いではなく、当時のケース全体の水準をそのまま記録したものです。
しかし、ケースを許可時期で区切って見ると、この差が固定の比率ではないことがわかります——差は拡大しています。以下は2025年以降に許可が出た東京の50件です。
| 許可時期 | 高度の中央値 | 技人国の中央値 | 高度/技人国 |
|---|---|---|---|
| 2025年上半期 | 585日(1件) | 533日(2件) | 1.10 |
| 2025年下半期 | 576日(10件) | 459日(3件) | 1.25 |
| 2026年上半期 | 638日(28件) | 416日(6件) | 1.53 |

上の2行は件数が少なく、方向性の参考程度です。主な裏付けは2026年上半期の34件にあります。申請時期で区切っても傾向は同じで、2023年下半期に申請したケースの比率は約1.1、2024年下半期の申請ではすでに1.43です。
ここまでは、すでに起きたことです。この軌跡を今日まで延長すると:maybebetter.jp の永住審査期間予測ツールで計算した場合、2026年6月に東京で永住申請をすると、区分なしの基準値は約488日、高度は約624日、技人国は約396日——高度は技人国より約57%遅い見込みです。また、技人国のケース数はまだ少なく、中央値自体にノイズがあるため、比率の小数点以下を厳密に受け取らないでください。
申請者にとっての意味
東京で永住申請をする場合:高度が技人国より遅いのは審査体制に由来する構造的な差で、時間が経てば自然に消えると考えることはできません。現在のケースに基づく較正では、短期的に縮小する兆しも見えていません。
東京以外で永住申請をする場合:高度が技人国より遅くなる心配は要りません。横浜・大阪・名古屋のケースで検証済みで、観測できる差はありませんでした。
データについて:公的統計は e-Stat の出入国在留管理統計に基づきます。データは2026年3月までです。
東京のケースは2025年以降に許可が出た50件です。各局のケースは rednote 上で公開された報告から収集しました。
本記事の内容は、rednote のアカウント @ad_astra で先行公開した調査をもとにしています。
ご自身のタイムライン(申請日・許可日・管轄局・申請区分)を共有していただける場合は、[email protected] までご連絡ください。新しいケースがまとまり次第、この記事の数字を更新します。