永住申請の不許可:よくある6つの理由と再申請までの期間
2024年以降、外国人政策の引き締めが続き、小さな不備ひとつが永住申請の不許可につながりかねない状況です。とくに東京出入国在留管理局(本局)では、不許可率が2024年1~8月の21.8%から、2025年10月~2026年3月の6か月間で60.7%まで上がりました。
rednote 上で公開されている永住不許可の体験談を調べ、計21件を下の図に整理しました。6つの高頻度の理由を、発生頻度と再申請までの期間で分類しています。

右上の「危険ゾーン」は頻度が高く、再申請までも長いエリアです。住民税の2項目と年金・健康保険がここに集まっています。以下、図中の番号順に、公式根拠・実例・セルフチェックの3点で見ていきます。実例には、理由聴取時の入管の説明をできるだけそのまま残しています。
① 住民税・納付遅れ
期限後の納付は、延滞金が発生していなくても、納付遅れの記録として残る可能性があります。
就労系の在留資格で永住を申請する場合、通常、直近5年分の「住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書」と、「住民税を適正な時期に納めていることを証明する資料(通帳の写し、領収証書等)」の提出が求められます。高度人材ポイントの70点ルートは直近3年分、80点ルートは直近1年分です。(出典:出入国在留管理庁「永住許可申請3」「永住許可申請4」提出書類)
実例:
- 住民税の納付遅れが1回だけあり、申請時に理由書を添付していたものの、不許可。理由聴取時の入管の説明:2年後に再提出可。
- 申請時点の2年前に1か月の納付遅れ。審査は16か月に及び、途中で資料を1回追加提出したものの不許可。理由聴取時の説明:資料を揃え、安定した期間を長くしたうえで再申請可。
セルフチェック:「特別徴収(給与から天引き)」や口座振替を設定できる場合は、できるだけ設定し、納付遅れの記録を残さないようにする。
② 住民税・証憑の不備
期限内に納付していても、入管が認める形式で証明する必要があります。
住民税関係の資料は、ア「住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書」と、イ「住民税を適正な時期に納めていることを証明する資料(通帳の写し、領収証書等)」の2種類に分かれています。対象期間がすべて特別徴収(給与から天引き)であればイは不要ですが、特別徴収以外の期間がある場合は、その期間分のイの提出が必要です。(出典:出入国在留管理庁「永住許可申請3」提出書類)
実例:
- 数年前の「領収証書」の追加提出を求められたが保存しておらず、区役所発行の納付証明で代替したところ、公印や偽造防止などの形式面を理由に認められなかった。理由聴取時の説明:すぐに再申請できるが、信頼できる証憑の添付が必要。
- 4年前の納付証憑を紛失し、期限内に納付済みである旨の理由書のみを提出したが認められず、審査895日後に不許可通知。
セルフチェック:普通徴収期間の「領収証書」等は、具体的な納付日を証明でき、公印としての効力があるものかを確認する。
③ 年金・健康保険
年金と健康保険は本人だけでなく、配偶者の未納や納付遅れも主申請者に影響する可能性があります。
就労系の在留資格で永住を申請する場合、直近2年間に加入していた「公的年金制度」「公的医療保険制度」に応じて、保険料納付状況の資料を提出します。年金は「年金事務所発行の記録」「ねんきん定期便」「ねんきんネットの『各月の年金記録』」などが使えます。直近2年間に「国民年金」の期間がある場合は、その期間の「国民年金保険料領収証書(写し)」も必要で、提出が難しい場合は理由書を添付します。(出典:出入国在留管理庁「永住許可申請3」提出書類)
実例:
- 結婚後、配偶者の「国民年金」「国民健康保険」への加入手続きが遅れ、追納したものの滞納記録が残り、不許可。本人の年収には問題なし。理由聴取時の説明:配偶者の滞納記録を解消すれば、同年8月に再申請可。
- 年金事務所からは「記録に問題なし、延滞金もなし」との回答だったが、年金を理由に不許可。入管が見ているのは延滞金の有無ではなく、期限超過の記録の有無である可能性。
セルフチェック:本人と配偶者の年金・健康保険に、空白期間・未加入・納付遅れの記録がないかをまず確認する。
④ 届出漏れ
退職・転職や、所属先の名称・所在地の変更などは、入管への届出が必要です。
就労系の在留資格では、「契約機関」の名称・所在地の変更、「契約終了」「新たな契約締結」などが生じた場合、14日以内に「所属(契約)機関に関する届出」を行う必要があります。(出典:出入国在留管理庁「所属機関等に関する届出Q&A」)
実例:
- 高度専門職で転職した際に高度専門職の在留資格を取り直さず、在留資格の状態に問題が生じて不許可。理由聴取時の説明:高度専門職の在留資格を更新すれば再申請可。
- 離職期間なしで転職したが届出を出しておらず、他の条件はすべて満たしていたのに不許可。入管の説明は保守的で、入社から5年経ってからの再申請を勧められた。同種の事例では、届出を出し直せば再申請できたケースが多い。
- 会社の移転に伴う所在地変更の届出を出しておらず、不許可。理由聴取時の説明:変更の届出を出せば再申請可。
セルフチェック:退職・入社や、所属先の名称・所在地などに変更があった場合は、14日以内に「所属(契約)機関に関する届出」を行う。過去の届出状況は、「地方出入国在留管理官署が保有する個人情報の開示請求」で確認できる場合があります。
⑤ 年収不足
年収は固定の数字だけで判断されるのではなく、扶養人数や世帯構成とあわせて見られます。
永住許可の法定要件のひとつが「独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」です。公式のガイドラインでは、日常生活で公共の負担にならず、資産や技能などから見て将来の生活に安定性が見込まれること、と説明されています。公式に年収の基準額が示されているわけではありません。本記事の年収に関する数字は、事例と実務上の話を整理したもので、公式基準ではありません。(出典:出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン」)
実例:
- 2つの年度の年収を指摘された。コロナ禍の年度は「考慮の余地あり」とされた一方、もう1年度は「説明がつかない」と判断された。理由聴取時の説明:現行の目安は約350万~400万円で、税・社会保険料の控除前の所得を見る。収入は主に過去5年分を見るため、その後の昇給を補足資料として提出しても結果は変わらなかった。これは個別の口頭説明であり、公式に示された基準ではありません。
- 別の事例では理由聴取をしておらず、扶養控除(1人38万円)を差し引いた後の年収が約260万円だったことから、年収が理由と推測されている。この項目は外部からの推測であり、参考程度です。
セルフチェック:収入と扶養人数をあわせて、独立した生計が安定しているかをざっくり試算する。
⑥ 高度人材ポイントの維持
申請後の審査期間中にポイントが基準を下回ることも、不許可のリスクになります。
高度人材ルートでは、申請時点と過去の基準時点の「ポイント計算表」の提出が求められます。80点ルートは申請時点と申請1年前、70点ルートは申請時点と申請3年前です。(出典:出入国在留管理庁「永住許可申請4」提出書類)
実例:
- 申請後、4か月の育休で年収が下がり、80点を下回って不許可。理由聴取時の説明:申請後もできるだけポイントを維持すること。審査が長引くほど、入管が確認する機会も増えうる。
- 別の事例では、ポイントが下がった後に回復した場合、1年または3年の期間は回復時点から再起算される、との説明を受けた。
セルフチェック:申請時点・過去の基準時点・今後の「見込み」のいずれでも、70点/80点以上を安定して維持する。
ここに挙げていない不許可理由をご存じでしたら、[email protected] までお知らせください。よくあるパターン・陥りやすいパターンが見つかれば、本記事を更新します。
本記事の内容は、rednote のアカウント @ad_astra で先行公開したものです。
不許可率の算出方法:e-Stat「出入国管理統計」表06の既済内訳をもとに、不許可÷(許可+不許可)で算出。東京本局=東京管内−成田空港支局−羽田空港支局−横浜支局。
事例について:21件は rednote 上で公開された不許可報告を整理したもので、投稿者本人の自己申告のため個別の検証はできていません。公的統計ではありません。
データは2026年3月分まで(e-Stat)。事例の収集は2026年7月時点。
各局の永住審査の待ち時間は、maybebetter.jp の永住審査期間予測ツールで確認できます(同じ e-Stat データに基づき、毎月更新)。